2011年7月14日木曜日

被災地ダイバーの受け入れ-《アクアクエスト》


今回の東日本大震災では、東北地方に住むダイバーの多くが、大きなダメージを受けています。岩手県陸前高田市で養殖業を営んでいた吉田先穂さんもその一人。現在は、陸前高田市を離れ、東京での生活を送っています。
そんな吉田さんの力になろうとサポートしているのが、東京都豊島区にあるPADIダイブセンターの《アクアクエスト》。吉田さんと《アクアクエスト》オーナーの澤田さんにお話をうかがいました。
吉田さん(右)と《アクアクエスト》オーナーの澤田さん(左)
●吉田さんがダイビングを始めたきっかけは?

私は実家が養殖業を営んでいるのですが、今までも津波(チリ地震等)がくる都度、養殖施設に被害がありました。そこで少しでも漁協や仲間の役にたちたいと思い、潜水士の免許を取得したのですが、実際の潜水ができず、半ばあきらめていたところ、同業の仲間からダイビング雑誌を紹介され、ダイビングを教えてもらえるお店があることを知りました。

雑誌に載っているさまざまなお店に問い合わせをしましたが、その中でも、《アクアクエスト》はマンツーマンでしっかり教えてくれそうだったので、ここに決めました。その結果、確実に潜れるようになり、2010年のチリ地震の津波の被害の際にもしっかり潜ることができて同業の仲間も喜んでくれたことから、1年に1回は《アクアクエスト》で潜るようになりました。(吉田さん)
●震災後の生活スタイルはどのように変わりましたか?

実際に震災にあって分かったことは、今まで普通にあったものがなくなり、養殖業で使っていたもの(漁具・船など)もなくなり、生活に必要なものが全てなくなったということ。陸前高田での生活が苦しくなったので、親戚のすすめと《アクアクエスト》の仲間もいることから、東京で仕事をしながら暮らすことになりました。(吉田さん)
●ダイビングについての思い

正直、津波を目の当たりにしてから、いざ海を目の前にすると、怖さと不安でいっぱいになり、今までにできたことも普通にできなくなったような気がしました。今から潜れるのか、とても不安でしたが、《アクアクエスト》の仲間が一緒に潜ってくれたので、徐々に不安も取れ、むしろ楽しく潜ることができました。(吉田さん)
●今後どのようにダイビングをしていきたいですか?

岩手県陸前高田には何もなくなってしまったので、町の復興を兼ねて、できれば地元の養殖業の仲間たちとダイビングサービスをやりたいと思っています。陸前高田は漁業の町なので、養殖業もそうですが、海の物が良くならないと町は復興できません。ダイビングサービスを作って町の復興につなげるために、東京にいるうちに《アクアクエスト》でダイビングのスキルを上達させ、ランクを上げていきたいと思います。(吉田さん)
●ショップとしてどのようなサポートをしていますか?

吉田さんとは、お店がオープンして以来の関係で、今回の被災の際は、生死も分からない状態で、電話も繋がらないことは覚悟の上で、スタッフ、お客様がインターネットやTwitter、mixi、電話などで生存確認をしたことを覚えています。吉田さんがやっと電話をくれたときは、親戚よりも先に《アクアクエスト》に連絡をくれたそうで、うれしかったです。

地震後、お客様の力を借りて、現地にお客様から頂いた支援物資を届けにいきました。また、吉田さんが東京に就職してからは、毎週末お店に遊びにきていただき、お客様とふれあいの場を提供し、吉田さんの時間が許す限りダイビングにもお連れしています。(澤田さん)
●今後はどのようなサポートを考えていますか?

今回の被災は広範囲で、とても一店舗の力では何もできないのですが、吉田さんと知り合えたことで、より身近な東北になったと思っております。今、《アクアクエスト》では、吉田さんはもとより、もう一度海に潜りたいという被災者の方々に、特別な料金プランやサービスをご用意させていただこうと思っております。また、私たちが潜ることでお役に立てるのであれば、お手伝いにうかがいたいとも思っています。(澤田さん)

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